トヨタと言えば、日本が誇る世界一の自動車メーカーですね。市販車だけでなく近年はWRCという世界ラリー選手権にも1999年以来の久々の参戦を果たし、スポーツとしてのクルマの開発にも力を入れています。

そんなトヨタが昨年2020年の1月に発表した計画が【Woven City】というコネクティッド・シティの計画です。コネクティッド・シティとはあらゆるモノとサービスが繋がる街という意味です。まさにIoTを根底にした街であり、キーワードしては「自動運転」「MaaS」「人工知能(AI)」「ロボット」「スマートホーム」「パーソナルモビリティ」が挙げられます。

ちなみに【Woven】とは「織り合わせる」という意味です。つまりモノとサービスがまさに「織り合わさった」街という意味ですね。

【Woven City】

2021年2月23日に、静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本 東富士工場 跡地にて地鎮祭が行われ、正式にプロジェクトが開始になりました。

地域の皆様にお支えいただきながら、この地で生産を続けてまいりました
トヨタ自動車東日本の東富士工場が53年の歴史に幕を閉じました。
ここで働いてきた人は7千人。
この場所に、毎日、1400万歩の足跡を残したことになります。
これまでに生産した車は752万台。
センチュリーからジャパンタクシーまで、多種多様なクルマを
世の中に送り出してまいりました。
まさに日本のモータリゼーションをけん引し、
人々の暮らしを支え、クルマ文化をつくってきた工場だったと思います。

東富士工場のDNA。
それは、たゆまぬカイゼンの精神であり、
自分以外の誰かのために働く「YOU」の視点であり、
多様性を受け入れる「ダイバシティ&インクルージョン」の精神です。
これらが「人中心の街」、「実証実験の街」、「未完成の街」という
ウーヴンシティのブレない軸として受け継がれてまいります。

「東富士工場の歴史をこの町の未来につなげたい」
「地域の皆様から愛され、頼りにされる、この町いちばんの会社になりたい」
それが、私たち全員の想いであり、
これから先も、決して変わることはございません。

ぜひ豊田社長のコメントをみてみてください。話が逸れますが、IoTにおける大事なことを言っています。それは「ヒト中心の街」という「ヒト中心の◯◯」です。これに関しては、後日、記事にしますが、IoT、そしてAI社会において非常に重要な考えになりますので楽しみにしていてください。

話を戻しますが、この都市の広さは70.8万m2です。よく例えられる東京ドームで表すと約15個分です。池袋よりも一回り小さいくらいの街の大きさになります。またこのプロジェクトの総工費ですが未公開となっています。おそらく数千億規模と言われています。ちなみに【Woven City】はあくまで実証都市となります。

とはいえ、都市完成後は、最初、高齢者、子育て世代の家族、発明家等を中心に360人程度住む予定になっています。徐々に住む規模を大きくし、将来的にはトヨタの従業員を含む2,000人以上の住民が暮らす都市にするとトヨタは発表しています。

Woven City 完成イメージ :woven planetより引用

【Woven City】では何ができるのか

ではこの【Woven City】では何ができるのでしょうか。

  • 安心安全な移動
  • 無人バス移動
  • 無人自動配達
  • 環境に優しい生活
  • ITを活用した健康管理
  •  

街には主に3つの種類の道が計画されています。

  1. スピードが速い車両専用の道
  2. 歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存する道
  3. 歩行者専用の公園内歩道

3つの道に分けることで、移動スピードの遅いヒト、スピードの早い車両を分別しより安全により効率な交通網を目指しています。また地下には配達のための物流網を敷く予定になっています。こうしてみると、現在日本の交通網とは全く異なるものになります。

移動手段には自動運転でかつ電動化の実現を目指している「e-Palette」という車両が利用される予定です。また移動する店舗も計画されています。

電気は、太陽光パネルによる発電や燃料電池による発電で賄い、環境に優しい造りになっています。

生活面ではITを活かして、日々の健康状態が確認できるようにする計画もあるそうです。

今後、計画が変更されることはあるかもしれませんが、居住する方々のコミュニティも考慮したまちづくりを進めるとのことです(コミュニティの場として、各ブロックに広場や公園を作ったりとか)。

ここには書ききれないくらいの計画がされていますが、今までの街とは全く異なったまちづくりになることは確かです。さらに言えば、日々の働き方然り、日々の生活様式が今の概念とはガラッと変わった違うものになるのも確かです。

今後、どうなるか

コネクティッド・シティの実現は非常に難しいプロジェクトです。

実際世界中で実現への動きがあったものの頓挫し撤退しています。

代表的なのがgoogleです(正確にいうと親会社であるアルファベットの傘下であるサイドウォークラボという会社)。

カナダのトロントにスマートシティを再開発しようとしましたが2020年5月7日に撤退を発表しました。撤退要因はコロナウイルスの影響としていますが、実際の課題は他にあるとみています。大きな要因は2つです。

1つはインフラ設備や土地取得に係る莫大な資金力の確保です。当初は5000万ドルを投じるとのことでしたが、実際にプロジェクトを進めるうちに、最終的なプランでは最大で13億ドル投じると謳っていました。そしてもう1つがデータの管理と扱いです。

モノとサービスが繋がる為に一番大事な要因はデータをどう保管し、どう活かすかです。またデータには価値がある一方で、個人的なプライバシーなデータも含まれます。なので、そのデータが安心安全に保管させ、どう扱われるかに課題があったと言われています。

ではトヨタの場合も失敗に終わるのでしょうか。答えはノーだと思われます。

よっぽどのことがない限りこのプロジェクトは完成まで導かれると考えています。

なぜかというと近年のトヨタは有言実行を実直に進めているように見えるからで(最大の例がWRCへの参戦です。)、また豊田章男社長も最後までやりきると公言しています。

実現するには、資金面や技術面でかつてないくらいの課題と大きな壁があることは確かです。ただ実現すれば実証実験都市とはいえ、実際に人が住み生活する、世界初のスマートシティになります。完成するのがただ待ち遠しいですね。

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編集長 松本

Iotラボの編集長をやりながら、IT企業である合同会社WMC代表やってます。